— 艶やかな額の内側と外側は別世界。自然界と部屋の空間を繋ぐひみつの扉。「香り」から広がったひと組みの男女の物語り。

河村康輔の感性を 「 覗く 」


「 奥行きと広がり 」


「ラヴィング フィグ」は、スパイシーさと果実の甘さが同居する“誘惑”の香り。そこに、男女の姿と大人っぽさを見た河村さんの作品。素材の制限をなくし、香りから感じるままに、花、いちじく、薄暗いなかにたたずむ男女など、頭の中に浮かんだものが次々にコラージュされています。作品中央の額の内側と外側は別世界。自然のエッセンスを室内で楽しむという香りの根本が物語風に描かれています。

— 「ラヴィング フィグ」を嗅いで頭に浮かんだイメージは?
果実というよりは花、薄暗い中に男女の姿。ただ派手なイメージはなく、色は茶色。情景としては、薄暗いダウンライトの下にいるような大人っぽい印象を受けました。
— 頭に浮かんだイメージを、どう作品に落とし込みましたか?
香りの「かたち」を表現できたらと思い、いろいろなもののコラージュで、イメージに合わせて色はモノクロにしました。普段なら3つ、4つのキーワードから作品を仕上げていくのですが、今回はその制限を取っ払い、一番最初に受けた花のイメージをベースに、香りの中で使われているいちじくの素材、薄暗い中に男女を入れ、全体としては狭い空間から屋外へ広がっていくような世界。この香りが持つ広がりを感じたままに表現しました。
— 作品のテーマと、伝えたいメッセージは?
テーマは、奥行きと広がりです。ルームフレグランスは部屋のなかで楽しむものですが、その成分には自然のあらゆる成分が用いられています。「ラヴィング フィグ」も、イチジク、ナツメグ、ピンクペッパー、と小さなボトルの中に広大な世界が広がっています。その奥行きと広がりを、作品中央の額を境に屋内から徐々に屋外の開けた世界に広がっていくイメージで表現しました。作品をご覧いただきながら、狭い空間というよりは、その先に広がっている空間みたいなものを自由に想像してもらえたらと思います。
— アート制作で心がけていることは?
あえてデザイン画とかラフは描かず、直感を大事にしています。物語やコンセプトを決めてから取り組むよりは、その場で表れた自分の感性に対応していく感じです。自分でも最後の形が見えない状況で進めていく。そうでなきゃ、良い意味でハミ出した作品にならないので。
— 「香り」を具現化するなかで苦労したことは?
初めての試みだったので、どうしようかと戸惑いはありました。言葉や文字にもしづらいものをどうビジュアルにするんだろうと、かなり難しい題材でした。
— 河村さんにとって、「香り」とは…。
音楽と同じように、香りを嗅ぐことで心が落ち着き、感性に作用することに気づきました。

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