— 処分したものと共に失われた記憶のかけら。 再び日の目を見ることで懐かしい記憶を呼び覚ます。 廃材置き場は宝の山。

キム・ソンへの感性を 「 覗く 」


「 Restart (リスタート) 」


生のジンジャーがもたらす「ピュリファイイング ジンジャー」の香りの輪郭から、キムさんは「からし色」の大地のエネルギーを感じ取りました。次にやってきたのは、「この香り知ってるけど、何だろう?」という香りの余韻。昔の記憶を探り、呼び覚ますような嗅覚での体験を視覚によって引き起こし、人が五感に対して抱く固定概念を打ち破ることをテーマとしています。

— 「香り」を作品にしてほしいと聞いた時の率直な感想は?
香りからインスピレーションを受けて作るのは初めてだったので率直に楽しそうだな、新しいことができそうだなと感じました。
— 「ピュリファイイング ジンジャー」を嗅いで頭に浮かんだイメージは?
「からし色」の大地。とても自然で、○でも△でもない自由な形をした、エネルギーに満ち溢れたイメージでした。
— 頭に浮かんだイメージを、どう作品に落とし込みましたか?
香りを嗅いでとても自由なイメージを持ったので、私のシャンデリアも形にとらわれないように自由な作品にしようと取り組みました。
— 作品づくりで心がけたことは?
見ている人の固定概念を打ち破りたい、という思いがあります。私も作品をつくる時の癖みたいなものがあって、それが出てしまうと凝り固まったものになってしまうので、自分自身も固定概念を壊していくことを意識しながら制作していきました。香りも、その時々の人の感情によって感じ方が変わることをお伺いしたので、見る角度や時間帯によって印象が変わるようなものが作品でも表現できたらと思ってつくりました。
— シャンデリアに使われている材料は?
香りを嗅いで、「この香り知ってるけど、何だろう?」と昔の記憶を呼び覚ますような感覚があったので、古くなり、人に捨てられたものがすごいマッチする気がして、今回はゴミの廃棄場で主な材料を調達しました。あと、瓶に挿したのはすべてドライフラワー。材料はどれも一度死んだもののようなイメージなんですけど、それが作品になると息を吹き返す。地球滅亡の危機を何度も乗り越えてきた大地のように、一度死んでも力強く生き返れるような印象を与えられる作品にしたかったので、これらの素材を選びました。
— 伝えたいメッセージは?
香りには、人の記憶を呼び起こしたり、懐かしい記憶を呼び覚ます作用があると思うので、作品もうまくリンクさせられたらと思ってつくりました。私が作品制作で用いる材料は、人がいらなくなった物や古い物がほとんど。懐かしさを感じるという意味では香りとの共通点があると思うので、観た人の潜在意識みたいなものを引き出せるような作品になっていたら嬉しいです。
— 香りに包まれた空間での制作はいかがでしたか?
いつもと違いました。自分自身も忘れていた感覚の引き出し方とかを再び思い出させてくれて、制作中はとても楽しい気分でした。
— キムさんにとって、「香り」とは…。
香りは生活の中でリラックスさせてくれたり、忘れていた記憶や潜在意識を呼び覚ましてくれるような存在だと思います。

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